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ばけいちょう
化銀杏
泉 鏡花
「文芸倶楽部」1896(明治29)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,197 字 · 54 页
)と大笑をして行き過ぎたが、何のこった知らんと、当座は気が着かずに居たっけがね。何だとさ、学校じゃあ、皆がもう良人に、(ちょいとこさ)と謂う渾名を附けて、蔭じゃあ、そうとほか言わないそうだよ。」
少年は頭を掉れり。
「何の、蔭でいうくらいなら優しいけれど、髯がね、あの学校の雇になって、はじめて教場へ出た時に、誰だっけか、(先生、先生の御姓名は?)と聞いたんだって。するとね、ちょうど、後れて溜から入って来た、遠藤ッて、そら知ってるだろう。僕の処へもよく遊びに来る、肩のあがった、武者修行のような男。」
「ああ、ああ、鉄扇でものをいう人かえ。」
「うむ、彼奴さ、彼奴がさ。髯の傍へずいと出て、席から名を尋ねた学生に向って、(おい、君、この先生か。この先生ならそうだ、名は※(始め二重括弧、1-2-54)チョイトコサ※(終わり二重括弧、1-2-55)だ。)と謂ったので、組一統がわッといって笑ッたって、里見がいつか話したっけ。」
お貞は溜いきをもらしたり。
「嫌になっちまう! じゃ、まるでのっけから安く踏まれて、馬鹿にされ切っていたんだね。」
「でもなかにゃああ見えても、なかなか学問が出来るんだって、そういってる者もあるんだ。