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じゅうはちじょうおつ
十八条乙
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,127 字 · 26 页
という、領主の継嗣をめぐる政争以来の騒ぎで、すべてが落着するまでに一年あまりを要した。
庄兵衛には詳しいことはわからなかった。定期的な見廻りに来る大目付の役人、――それはもう以前の滝沢忠太夫やその部下ではなく、新しく任命された者だったが、かれらが言葉少なに語ることで、およその経過を知るだけであり、また、かれ自身それ以上その紛争の内容などには関心がなかった。騒ぎがおちついてから、伊原友三郎が中老になり、国許留守役を兼務することになった、ということがわかった。彼は三年以上も身を隠したまま、江戸や国許のお為派と連絡を続け、こんどの御改新に多くの功績があったという。庄兵衛はそんな話はどっちでもよかったが、伊原の異例な出世にはよろこんだ。
「永蟄居もこれで終るか」と庄兵衛は太息をついて云った、「七年、いや、もう八年ちかく経ったな、ひどいもんだ、われながらよくがまんしたものだと思う、いろいろなことがあった中で、いちばんこたえたのは母に死なれたことだ、肩身のせまい日蔭ぐらしのままでね」
あやはそっと、良人の手の上へ自分の手をかさねた。
定期的な見廻りはあるが、閉門蟄居についてはなんの沙汰もなかった。