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はんしちざっかん

半七雑感

国枝 史郎

「新青年 新春増刊号」1926(大正15)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,946 字 · 6 页

青空文庫

「今でこそお話をすれ、その時には私も引込がつきませんでしたよ。なまじ十手を振廻したり何かしただけに猶々始末がつきませんや。でも、その梶井という武士も案外捌けた人で一緒に笑ってくれましたから、まあ、まあ、どうにか結末は付きましたよ」

こう云って半七は苦笑しているが、いかにも是は尤である。

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半七は名探偵、これには何んの異存も無い。チョン髷時代の岡っ引としては、もうもう充分科学的でもある。最も大切な直感力さえある。人柄から云っても好もしい。

まるで実在の人物のようだ。ふと人混など歩く時、僕は時々思うことさえある。

――唐桟の羽織を引っかけた、色の浅黒い半七が、じっと獲物へ眼を付け乍ら雑踏の巷を押し分け押し分け、その辺を歩いてはいまいかと! 朱総の十手さえ眼にちらつく。

自由自在天衣無縫、岡本綺堂氏の話術の冴は、いや七十歳の半七の、円滑を極わめた話術の冴は、そう迄神田の半七を写し出しているのである。