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なんきんむしさつじんじけん
南京虫殺人事件
「キング 第二九巻第五号」1953(昭和28)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,660 字 · 26 页
美女と佳人
美女と佳人
百合子は娘らしい普通の洋装で行ったけれども、婦警の身分は隠さなかった。
「先夜、この邸内へ逃げこんで行方不明になったある事件の容疑者のことで、助言していただけたらとお伺いしたんですけど、御主人に会わせていただきたいのですが」
「御主人は商用で台湾へ御流行中さ」
「代理のお方は?」
「お嬢さまがいらっしゃるけど、会って下さるかどうか」
「ほかに御家族はいらっしゃらないんですか」
「奥さまも居ないし、男の御子様もいないよ。オスは今のところ犬だけさ」
「お嬢さまにぜひ会って下さるようにお願いしてちょうだいな」
「巡査なんていけ好かないが、まア、女だから、取り次いでやろう」
ところが意外にカンタンにお許しがでて、邸内へ通された。この家も戦災で焼けたのを、陳氏が地所をかりて小ザッパリした洋館をたてたものだ。室数は十室ぐらいで、庭にくらべてそう大きな家ではなかった。
広間へ通された百合子は、現れた陳令嬢の美しさに、思わず息をのんでしまった。自然にポッとあからんで、あまり上手ではない英語をギクシャクとあやつりながら、
「突然、恐れ入ります。私、婦警の……」
と云いかけると、令嬢はニコニコして、