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ゆうじょうにかんけいあるエッセイ
友情に関係あるエッセイ
戸坂 潤
「改造」1941(昭和16)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,236 字 · 17 页
チャンスか潮時か、何かそうした稀な張り切りの頂点がなければなるまい。それは慥かに著述する場合の覚悟の比ではないだろう。と同時に学位を授与する側を見ても、個人的慫慂や一定の積極方針の強調や、又時には大盤振舞のような太っ肘や、学術政策的な決意やがなくてはならぬことと私は考える。いずれの側から云っても、学位を沢山授受されるには、とに角文化的勇気というものが、心理的に必要なのだ。お互いに気をよくしなければ実現しない現象だ。この一二年の間にアカデミーの周りには、急にこの文化的勇気や自信というものが横溢して来た、と見る他ない。私を最も捉えるのはこの間の消息である。私が、変ったと云って気にかけるのはこういう点にあるのである。
だが問題は残る。この文化的勇気のような心理が抑々なぜ遽かに醸成されたのだろうか。――そうなると、私は、どうも、やはり一種の妄想を禁じ得ないのである。アカデミーの世界から、最近の二年又はもう少し前から、累進的に何ものかの威圧が取り除かれつつ今日に到った、と考える外ないのである。この威圧する幽霊が引き込んだので、アカデミックな学究文化が、急に自由を感じ始め、元気を出し始め、気をよくし始めたに相違ないという妄想である。