轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

「サンデー毎日」1925(大正14)年7月5日~10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 页

青空文庫

気味の悪い言葉であった。

ここで二人はまた黙った。

と、浪人は卒然といった。

「俺はすっかり変ってしまった」嘆くような声であった。

「妾も変ってしまいました」女房の声は顫えていた。

「俺は自分が解らなくなった。……それというのもあの晩からだ」

女房は返辞をしなかった。返辞の代りに立ち上がった。

「これ、どこへ行く。どうするのだ」

「灯でもともそうではございませんか」

やがて行燈がともされた。茫っと立つ黄色い灯影に、煤びた天井が隈取られた。

と、女房は仏壇へ行った。

カチカチという切り火の音。……

ここへも燈明が点された。

「南無幽霊頓証菩提。南無幽霊頓証菩提」

ブルッと浪人は身顫いをした。

「陰気な声だな。俺は嫌いだ」

「南無幽霊頓証菩提」

「その声を聞くと身が縮む」

「どうぞどうぞお許しください。どうぞどうぞお許しください」

「止めてくれ! 止めてくれ!」

「妾はこんなに懺悔しています。どうぞ怨んでくださいますな」

ザワザワと竹叢の揺れる音。……

どうやら夜風が出たらしい。

悪人同志の夫婦仲

「俺の心は弱くなった。それというのもあの晩からだ。……憎い奴は平手造酒だ!」