轻松读懂日语经典作品
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ひまわりのめ
向日葵の眼
野村 胡堂
「少女倶楽部」1929(昭和4)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,919 字 · 18 页
十段ばかり降ると、小さい小さい一つの部屋があります。天井から落ちて来る少しばかりの光線で見ると、コンクリートで塗りこめた、金庫室のような部屋で、その中には大きい戸棚が一つ、開けて見ると、中にはいろんな設計図やら、発明の途中にある品物やら、それから、夥しい証券やら、勘定も出来ないほどの現金やらが入って居ります。ああ、ここに、博士が苦心の設計図と財宝が隠されていたのです。
「これだこれだ」
紺野が探しているのは、言うまでもなくこの戸棚でしょう。
「叔父さん、これは何んでしょう」
加奈子の囁やく声に振り返って、瞳を凝らして見ると、降りて来た方とは反対の壁際に、もう一つ二尺ほどの鉄の扉がついて居ります。
引手を廻して引くと、わけもなく開いて、その先に、もう一つ小さい密室があります。
「シッ」
何やら物の気配、三人は思わず顔を見合せました。密室の闇の中には、動物とも人ともわからぬものが、僅かに蠢めいて居る様子です。
三人は壁際に身を寄せて、上から落ちて来る光線を入れると、中に居るのは、正しく人間、しかも中年過ぎの婦人の姿です。
「お母様ッ」
場所柄も何も忘れて、麗子はいきなり半死半生の母親に飛付き、薄暗い中に泣き崩れてしまいました。