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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

「奥さん。よか天気でござります」と唐津訛りか何かで細君の前にズボンのまま立て膝をつく。

「おや多々良さん」

「先生はどこぞ出なすったか」

「いいえ書斎にいます」

「奥さん、先生のごと勉強しなさると毒ですばい。たまの日曜だもの、あなた」

「わたしに言っても駄目だから、あなたが先生にそうおっしゃい」

「そればってんが……」と言い掛けた三平君は座敷中を見廻わして「今日は御嬢さんも見えんな」と半分妻君に聞いているや否や次の間からとん子とすん子が馳け出して来る。

「多々良さん、今日は御寿司を持って来て?」と姉のとん子は先日の約束を覚えていて、三平君の顔を見るや否や催促する。多々良君は頭を掻きながら

「よう覚えているのう、この次はきっと持って来ます。今日は忘れた」と白状する。

「いやーだ」と姉が云うと妹もすぐ真似をして「いやーだ」とつける。細君はようやく御機嫌が直って少々笑顔になる。

「寿司は持って来んが、山の芋は上げたろう。御嬢さん喰べなさったか」

「山の芋ってなあに?」と姉がきくと妹が今度もまた真似をして「山の芋ってなあに?」と三平君に尋ねる。

「まだ食いなさらんか、早く御母あさんに煮て御貰い。