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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

唐津の山の芋は東京のとは違ってうまかあ」と三平君が国自慢をすると、細君はようやく気が付いて

「多々良さんせんだっては御親切に沢山ありがとう」

「どうです、喰べて見なすったか、折れんように箱を誂らえて堅くつめて来たから、長いままでありましたろう」

「ところがせっかく下すった山の芋を夕べ泥棒に取られてしまって」

「ぬす盗が? 馬鹿な奴ですなあ。そげん山の芋の好きな男がおりますか?」と三平君大に感心している。

「御母あさま、夕べ泥棒が這入ったの?」と姉が尋ねる。

「ええ」と細君は軽く答える。

「泥棒が這入って――そうして――泥棒が這入って――どんな顔をして這入ったの?」と今度は妹が聞く。この奇問には細君も何と答えてよいか分らんので

「恐い顔をして這入りました」と返事をして多々良君の方を見る。

「恐い顔って多々良さん見たような顔なの」と姉が気の毒そうにもなく、押し返して聞く。

「何ですね。そんな失礼な事を」

「ハハハハ私の顔はそんなに恐いですか。困ったな」と頭を掻く。多々良君の頭の後部には直径一寸ばかりの禿がある。一カ月前から出来だして医者に見て貰ったが、まだ容易に癒りそうもない。