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のろいのダイヤモンド
呪の金剛石
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1928(昭和3)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,393 字 · 28 页
四
「もしか、ゆかりさんの帯揚には、ポケットが無かったかい」
「姉はそんな事が好きで、変なところに、変なカクシを作って居りましたよ」
妹は昏々として眠り続ける姉の顔――少しむくんで、見る影もなく日頃の美しさを打ち壊された姉の顔――を、痛々しく差しのぞき乍らこう申します。
「それだ、それだ」
私はもうそれ以上に聞く必要はありませんでした。そのまますっ飛んで社へ帰ると、社会部の腕利き、早坂勇――腕利きというよりは、足利きといった方がいいかも知れません――忠実で、根気がよくて、早坂は足で種を取ると言われた男ですが、これに大体の筋を打ち開けて、浅草の人造金の指環を売って居た、汚らしい西洋人を探し出してくれと頼みました。
「オーライ、半日待ってくれ、そいつの首根っこを捕えて引ずって来る」
早坂勇、一名「足の勇」は、郵便配達のような太い足を軽々と、ステッキを小脇に、浅草方面へと出動しました。
四
半日というのが、丸一日経っても「足の勇」は戻って来ません。
そんな事件より、もう少し新聞価値のある事件が沢山起って居るのにと、社会部長は苦い顔をして居りますが、一たん飛出したら最後、事件の真相を突き止めない内は、どんな事があっても帰って来ない「足の勇」