轻松读懂日语经典作品
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よっかのあやめ
四日のあやめ
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1954(昭和29)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,200 字 · 38 页
――伴六はひどく昂奮していた。外が明るいので顔はよくわからないが、握っている両の拳がふるえているし、その声も平生とはまるで違うように聞えた。
「今日は非番なものですから、まだやすんでおりますけれど」
「ではこうお伝え下さい」と伴六は云った、「とうとう徒士組と衝突しました。場所は籠崎の大洲、時刻は六時です」
千世はくっと喉が詰った。伴六はなお、自分はこれから土田と唐沢へまわるが、刻限が迫っているからすぐ起こしてくれるようにと云い、門の外へ出ていったと思うと、(そこに繋いでおいたのだろう)馬に乗って駆け去るのが聞えた。戞々というその蹄の音が聞えなくなるまで、千世は動くことができなかった。
――大変なことだ、大変なことになった。
彼女はふらふらと立ちあがった。
「あの方たちは良人を頼みにしている」と彼女は呟いた、「良人もあの方たちが自分を頼みにしていることをよく知っている、早く起こして知らせなければならない」
彼女は廊下を寝間の前までいったが、そこで急に立停った。何十人という多勢の人たちの、激しく斬りむすんでいる姿がふと眼にうかんだのである。ぎらぎらと閃光をとばす刃や、つんざくような叫喚や、そして、血に染まって倒れる姿までが、……その群の中に良人がいる、五大主税介の蒼白くひきつった顔がこちらへ振返る。