轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

在线阅读織田 作之助《土曜夫人(どようふじん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,903 字 · 213 页

青空文庫

「たしか土曜日の晩だった!」

満州から引揚げて来た銀造が、昔の二号だった貴子と、その貴子にうませたチマ子のいる田村を頼って、板場(料理人)の下廻りでも風呂番でもいいから使ってくれと、かつては鉄成金だった五十男の男を下げて転がり込んでから、ちょうど四日目の土曜日の晩、銀造は貴子の所へ来ていた章三を見たのだった。ちらと一眼だけ、あとにも先にも一度だけ見た顔だったが、咄嗟の勘でその男が貴子の現在のパトロンであることが判り、その時以来、銀造にとっては生涯忘れられぬ顔となったのだ。というより、忘れたいくらいだった。どうせ貴子にパトロンがありそうなことは気づいてはいたが、顔を見れば、さすがに年甲斐もなくこの男かと嫉妬が起った――その証拠には、拘置所の夜明けにも、その男の顔が夢に現われたこともある。

その顔が向い側のプラットホームから、汽車に乗ろうとしているのだ。銀造はどきんとして、苦痛に青ざめた顔をそむけた途端に、

「……十番線の列車は二十一時発東京行き急行であります……」

という拡声機の声をきいた。銀造はプラットホームの電気時計を見上げた。

「二十時十分か。発車までにまだ五十分ある」