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ちはゆたかなり

地は饒なり

宮本 百合子

「中央公論」1918(大正7)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,874 字 · 57 页

青空文庫

胡蝶の翅を飾る、あの美くしい粉ばかりを綴ったように、日の光りぐあいでどんな色にでも見える衣を被って、渦巻く髪に真赤なてんとう虫を止らせている乙女は、やがてユーラスの見たこともないライアをとりあげました。

そして、七匹の青蜘蛛が張りわたしている絃を掻き鳴らし始めると、二人のお爺さんは、睡蓮の花を静かに左や右に揺り、いっぱいに咲きこぼれている花々の蕋からは、一人ずつの類もなく可愛らしい花の精が舞いながら現われて来ました。

目に見えない※毛を金色に輝やかせながら、喉を張って歌う乙女の歌について、森じゅうの木々の葉と草どもが、小波のように繰返しをつけて行く。花は舞う。草木は歌う。勢づいた流れの水は、旋律につれて躍り上り跳ね上って、絶間ない霧で、天と地との間を七色に包む。

ありとあらゆるものが、魔法のような美くしいうちに、乙女の声は体の顫える力と魅力をもって澄み上って行ったのです。

ユーラスは、半分夢中のようになりました。そして、いきなりその踊りの真中を目がけて踏み出そうとすると、今までは、なごやかに低唱していた樫の木精が、一どきに

ギワーツク、ギワーツク、カットンロー、カットンローローワラーラー……と歌い出し、彼方の霧の底から、微かな