轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちじょう
地上
島田 清次郎
地に潜むもの
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页
右手の新しい赤煉瓦の会堂の、青空に聳える渋紅い尖塔、大理石の石柱の重厚さと雄渾さ、窓の色硝子に映る日光のゆらぎの美しさ。緩やかな坂路が門から伸びているその左手は、大地は円やかに膨れて高台となり青々した芝生に包まれてテニスコートがある。花色の服を着た金髪の一少女が学生らしい青年とラケットをもって競っている。
“Never! Only one Error!”平一郎は西洋の少女の上気した肉声を聞いた。芝生の向うには荊棘や常磐樹やポプラの垣根を廻らして邸宅風の洋館が三棟並んでいる。坂を登り切ると右手に薄水色の高い三層の建物に「高等学部」と書かれてある。建物の後ろは深いどんぐり林で、建物の前方に拡がる芝生には桜の花が咲き乱れ、二階建の新しい褪赭色の建物が芝生を越えて見られた。
一人の黒いガウンを纏った髭を生やした温厚らしい人が運動場を横ぎって平一郎の方へ歩んで来た。平一郎はお辞儀して「あの、普通部はどちらでしょうか」と訊いた。
「どういう御用?」
「少し田中さんという方に――」
「あ、田中はわたしです」と彼はにこやかに笑った。
「天野さんに聞いて来ましたが」と平一郎は手紙を差し出した。