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ちじょう

地上

島田 清次郎

地に潜むもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页

青空文庫

彼は煩わしい自分の根深い環境の圧迫に打ち克ち、理由なしに湧く暗い不安と混迷とを征服しようとした。彼の前にあたらしい学校生活が待っていた。ともすれば内と外から圧倒する滅却の力と戦い、自分の使命を成長させるにそれは有効だった。学校がなかったら滅びたかも知れない。

彼が金沢の中学でどうしても行く気になれなかったのは、自身に湧いて来る自然な天性を「教育」と「教育者」は制抑し枯死させようとすることが見えすいたからである。彼は無論そのとき意識はしない。しかし彼の意識よりも深いところで自分の生来の素質を殺す教育ならむしろ「無教育」を望むものがあったのだ。彼が求めたのは真に愛する少女を愛すると言い得る「真正の自由」である。(ああ「真正の自由!」恵まれた力の可能を地に現わさしめ、つくさしめる真正の自由! 一切の人類の偉大の源である真正の自由! それを自分は欲したのだ。)これは他の者であるなら、屡々間違いであり、あるいは他の卑しい不道徳的な欲望の仮面となり得たかもしれない。しかし平一郎においてはそれは大地に潜む芽生えが水分を欲するように、若葉が太陽の光熱を欲するようにそれは真実であり、無条件的な要求であり、「自然の命令」