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ちじょう
地上
島田 清次郎
地に潜むもの
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页
であった。(ああ、自分は真の自由という太陽を渇望する!)もしこの地上の文化がもっと進歩し人類の思想がもっと向上していたなら、おこさなくともよい平一郎の破壊である。あるいはそうした人類の生活を求めての平一郎の戦いかも知れない。
朝六時頃に彼は目覚める。もし彼が自分で目覚めず朝寝している時には粂がそっと起こしてくれた。彼は床をあげてすぐに長い縁側の雨戸を全部繰り開ける。一枚開ける度にさあっと流れ入る太陽の光を浴びる壮快さ。階下の雨戸を開け終ると彼は二階の雨戸も開けるのである。二階からは邸のうしろにある西洋館へ通じる廊下がある。彼は西洋館の窓も開ける。西洋館の窓を開けて、窓から眺める外の朝景色は何とも言えない。邸内の桜の花雲を超えて朝靄に包まれた高輪の一台が見渡され、人家の彼方に浅黄色の品川の海が湛えられている。そして黄金色の春の光が靄を破って輝いて出る荘厳さ! 夜寝るのが遅くなって眠くてたまらない朝は彼は客室の長椅子の柔らかいクッションの弾力を楽しみつつ二十分ほどもいねむることもあった。それから彼は自分の部屋を掃除し、廊下に乾雑巾をあてねばならない。