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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「とにかく、もう一度、連合艦隊旗艦へ連絡をとってみることにしよう。旗艦を呼び出したまえ」

「は」

それから、小一時間も、哨戒艦隊は、なおも、そのあたりをうろうろしていたようである。だが、私は、彼等の会話を、盗聴して、これなれば、こっちは安全であるとの自信を高め得た。

なぜなれば、その付近の海底を、いくら探してみても、海底から、とび出したものなどは、発見されないのであった。もちろん、海面を見わたしたところで、クロクロ島の姿が見えるわけのものでもなかった。わがクロクロ島は、完全に、彼等の感覚の外にあったのである。

――というと、まるで魔法使いの杖の下に、かき消すように消えてしまった兎のように思われるであろうが、そのような、いかさま現象ではない。わがクロクロ島は、ちゃんと現存しているのであった。私が、こうして島内の有様を記しているのを見ても、それは肯かれるであろう。これには、訳があるのであった。

わがクロクロ島の現在の位置は、先刻も、深度計や指針が示していたとおり、水深三十一メートルの海中にあるのだ。その水深は、私が籐椅子を置いていた岩のあるところの水深であって、私やオルガ姫が今いる席のごときは、更にもっと下であることは、いうまでもない。