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ちきゅうようさい
地球要塞
海野 十三
「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页
と、元帥は、顔を私の方へ近づけ、
「博士は、直ちにクロクロ島へ戻ってもらいたい。そして今後、わが命令を待ち、命令が達したらば、クロクロ島を指揮して、戦線へ出てもらいたい。これを渡しておく。これがわが命令の暗号帳だ」
そういって、鬼塚元帥は、紫色の表紙のついた暗号帳を、私の手に渡した。「分っているだろうが、暗号帳の保管は、特に注意をするように、いいかね」
「は」私は、それを、急ぎ懐中にしまった。
「多分、クロクロ島司令への命令は、一つとして、困難でないものはないであろう。且つ、今日は大西洋に、明日は南氷洋にと、ずいぶんはげしい移動を命ずることであろう。どうか、われわれの大東亜共栄圏のため、粉骨砕身、闘ってもらいたい」
「承知しました。大丈夫です」
「では、すぐさま、クロクロ島へ戻ってもらいたい」
「はい。すぐさま、出発いたします」
「折角、祖国へ戻ってきたのに、何の風情もなく、すぐさま追いかえして、気の毒じゃのう」
「いえ、今は、それどころでは、ありません。いずれ、あの世で、ゆっくりお目にかかりましょう」
「うん、わしも今それをいおうと思っていたところだ」
と、元帥はこたえた。