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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

元帥も、今度は、容易ならぬ決心をして居られる。うしろの壁に、一枚の色紙が懸けてある。その文字に、

“戦如風発攻如決河”

とあるのを、私は、大きな感動とともに、二、三度読みかえした。たしかに三略にある名句である。

私は、元帥に別れの挨拶をして、再び魚雷型快速潜水艇にうちのり、急遽、クロクロ島へ引返したのであった。もちろん、オルガ姫を伴って……。

最大速力を出して、クロクロ島までは、四時間で帰りつくことができるはずだった。私はその間、元帥との会見に緊張しすぎた反動で、睡りを催しうつらうつらとしていたが、いつの間にかぐっすり寝込んでしまったらしい。

やがて気がついたときには、オルガ姫が、只ならぬ様子で、しきりに叫んでいるのが、耳に入った。――

「一大事です。クロクロ島が、原位置におりません!」

「ええッ!」私は、わが耳を疑った。それが本当なら、一大変事勃発である!

絶望のクロクロ島――名状しがたい大戦慄

どこへ行ってしまったか、クロクロ島!

「あのとおり堅牢なクロクロ島だ。また、あのとおりすばらしい戦闘力をもったクロクロ島だ。そのクロクロ島が、まるで、煙のように消え去るとは、合点がいかない」