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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

私は、決心した。

「おい、オルガ姫。三角暗礁へ、艇をつけろ」

「三角暗礁へ! はい」

私は、一時、三角暗礁に拠って、おもむろに次の作戦を練るよりほかに、いい方法はないと思ったのである。

三角暗礁!

これは、いわば、私たちが非常の場合を予想してこしらえて置いた秘密の根拠地であった。そして、その名称のとおり、海面からはうかがうことの許されない深海の底に設けられた根拠地であったのである。

その位置は、南アメリカ大陸を西へ越した南太平洋にある、有名な仏領タヒチ島に近いところであった。布哇島からいえば、丁度真南に当り、緯度で四十度ばかり南方にあたる。

私たちは、その三角暗礁へ急行した。

三角暗礁にて――クロクロ島の紛失

望遠鏡に、ケープ・ホーンの、鬼気迫る山影がうつったかと思う間もなく、南米大陸は、ぐんぐんと後に小さくなって、やがて視界に没した。

それから間もなく、海水の色がかわり、潮の流れがまるで違ってきた。

雲霞のごとき、魚群を、いくたびとなく蹴散らしながら、全速力をつづけること小一時間、

「三角暗礁が見えます」

と、オルガ姫が知らせた。

望遠鏡の向きをぐっと変えると、なるほど前方に、大きな氷柱を逆さにして立てたような、怪奇な姿をした三角暗礁が見えてきた。