轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原民喜『夏の花・心願の国』。同一底本的分册已合并为一书。收入:夏の花、苦しく美しき夏、秋日記、冬日記、美しき死の岸に、死のなかの風景、火の唇、壊滅の序曲、廃墟から、鎮魂歌、永遠のみどり。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 152,816 字 · 310 页

青空文庫

すると、ふと正三の蹲っている叢のすぐ上の杉の梢の方で、何か微妙な啼声がした。おや、ほととぎすだな、そうおもいながら正三は何となく不思議な気持がした。この戦争が本土決戦に移り、もしも広島が最後の牙城となるとしたら、その時、己は決然と命を捨てて戦うことができるであろうか。……だが、この街が最後の楯になるなぞ、なんという狂気以上の妄想だろう。仮りにこれを叙事詩にするとしたら、最も矮小で陰惨かぎりないものになるに相違ない。……だが、正三はやはり頭上に被さる見えないものの羽挙を、すぐ身近にきくようなおもいがするのであった。

警報が解除になり、清二の家までみんな引返しても、正三はこの玄関で暫くラジオをきいていることがあった。どうかすると、また逃げださなければならぬので、甥も姪もまだ靴のままでいる。だが、大人達がラジオに気をとられているうち、さきほどまで声のしていた甥が、いつのまにか玄関の石の上に手足を投出し、大鼾で睡っていることがあった。この起伏常なき生活に馴れてしまったらしい子供は、まるで兵士のような鼾をかいている。(この姿を正三は何気なく眺めたのであったが、それがやがて、兵士のような死に方をするとはおもえなかった。