轻松读懂日语经典作品
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ゆうもやのなか
夕靄の中
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,522 字 · 19 页
そういう店にいて、二十六になるまで、ついに結婚の機会もなかったとすれば、あまり縹緻もよくなかったことだろう。友達よりも良い玩具を持つと、恥ずかしくて見せられなかったという、内気で温和しい娘。……いつも他人を立てて、自分はひっそりと蔭に坐っている。繁二郎という手代とはどんな関係だったのか、息をひきとるまで、うわごとに名を呼んでいたというが、死んでも訪ねて来ないようすから察すると、片想いだったと考えられる。
「私はおいねさんと夫婦約束をしていました」
彼は衝動的にこう云いだした。いけない、ばかなことを云うなと、抑える気持もあったが、口をついて出る言葉はもう止めようがなかった。
「もう少し待てば、店を出して貰えるんです、五年まえから好きあって、末は夫婦と約束をしてからも、二年経ちます」
「まあ、……そんなにまえから」
「あと半年、せいぜい半年もすれば、店が出せる、そうしたらおっ母さんにうちあけよう、私には親きょうだいがありません、祝言をしたらおっ母さんにも来て貰って、三人いっしょに暮そう、そう話しあって、楽しみにしていたんです」
「そうでしたか、そんなふうに云って下すったんですか、わたしまで引取って下さるって」