轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

04 第二部下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页

青空文庫

旧暦二月末の雨の来る日、美濃路よりする松雲の一行が中津川宗泉寺老和尚の付き添いで、国境の十曲峠を上って来た時、父の名代として百姓総代らと共に峠の上の新茶屋まで新住職の一行を出迎えたのもまだ若いころの半蔵だった。旅姿の松雲はそのまま山門をくぐらずに、まず本陣の玄関に着き、半蔵が家の一室で法衣装束に着かえ、それから乗り物、先箱、台傘で万福寺にはいったのであった。

二十年の月日は半蔵を変えたばかりでなく、松雲をも変え、その周囲をも変えた。和尚もすでに五十の坂を越した。過ぐる月日の間、どんなさかんな行列が木曾街道に続こうと、どんな血眼になった人たちが馬籠峠の上を往復しようと、日々の雲が変わるか、あるいは陰陽の移りかわるかぐらいにながめ暮らして、ただただ古い方丈の壁にかかる達磨の画像を友として来たような人が松雲だ。毎朝早くの洗面さえもが、この人には道を修めることで、法鼓、諷経等の朝課の勤めも、払暁に自ら鐘楼に上って大鐘をつき鳴らすことも、その日その日をみたして行こうとする修道の心からであった。一日成さなければ一日食うまい、とは百丈禅師のような古大徳がこの人に教えた言葉だ。