轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
04 第二部下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页
半蔵は熱心な子女の教育者だから、いつのまにかお粂も父の深い感化を受け、日ごろ父の尊信する本居、平田諸大人をありがたい人たちに思うような心を養われて来ている。お粂は性来の感じやすさから、父が戸長の職を褫がれ青ざめた顔をして木曾福島から家に帰って来た時なぞも、彼女の小さな胸を傷めたことは一通りでなかった。彼女は、かずかずの数奇な運命に娘心を打たれたというふうで、
「わたしはこうしちゃいられないような気がする。」
と言って、母のそばによく眠らなかったほどの娘だ。
しかし、お民はお民なりに、この娘を励まし、一方には強い個性をもった姑との間にも立って、戸長免職後の半蔵を助けながら精いっぱい働こうと思い立っていた。以前にお民が妻籠旧本陣を訪ねたおり、おばあさんや兄夫婦のいるあの生家の方で見て来たことは、自給自足の生活がそこにも始まっていることであった。お民はそれを夫の家にも応用しようとした。彼女は周囲を見回した。もっと養蚕を励もうとさえ思えば、広い玄関の次の間から、仲の間、奥の間まで、そこには蚕の棚を置くこともできるような旧本陣の部屋部屋が彼女を待っていた。髪につける油を自分で絞ろうとさえ思えば、毎年表庭の片すみに実を結ぶ古い椿を役に立てることもできた。