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たいしかんのしまつきかん

大使館の始末機関

海野 十三

――金博士シリーズ・7――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

あの無類の毒酒を、まんまと三杯も乾してしまったよ。致死量の十二倍はある。あと十五分で、金博士の死骸が庭園に転がるだろうから、お前の部下に手配をして、早いところ取片づけるように」

「そうですか。あと十五分ですか。それは大成功だ」

「やれやれ、醤どののためとはいえ、殺生なことをしてしまったわい」

王老師は、ちょっと後味のわるさに不機嫌な表情をつくった。

醤は、もう話はすんだと、卓子の下から脱兎のようにとびだすと、部下のつめている部屋へとんでいって、金博士の死骸の取片づけ方を命令した。やれやれこれで、あの恐るべき金博士を始末することが出来たかと、醤買石は、鼻の横に深い皺をつくって、大満悦であった。

4

それから二時間ばかり経った。

食堂の隅の卓子に、醤と王老師とが向いあい、額をあつめて、何か喋っている。さっきとはちがい、二人の顔付は、共にすこぶるいらいらしているように見えた。

「王老師、ことごとく失敗ですぞ。どうしてくださる」

「どうしてくださるといって、どうも不思議という外ない」

「余はあのように多額の報酬金を老師に支払ったのも、当館の始末機関に絶対信頼を置いたればこそです。