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たいしかんのしまつきかん
大使館の始末機関
海野 十三
――金博士シリーズ・7――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页
とんだ仕掛のあるインチキ盃だった。
「どうじゃ、美酒じゃろうが、もう一杯、いこう」
「さいですか。どうもすみませんねえ」
金博士は、またも盃になみなみ注いでもらって、老師と共に乾盃をくりかえした。
こんなことが三回続けられた。そして、老師の持てる盃は、一回毎に重くなり、そして三回目には、穴の入口まで酒が上ってきた。もうこの上は入らない。
やがて朝餐は終った。
「仲々いい庭園じゃろうが。ちと散歩をしてきたらどうじゃ」
「はい。では老師先生」
金博士は、日頃のつむじまがりもどこへやら、まるで人がちがったように師の前には従順となり、庭園へ出た。
「老師は、いらっしゃらないので……」
「ああ、わしはちょっとソノ……食事のあとで用を達すことがあるので、そちだけでいってくれ」
「は。では、散歩をして参りましょう」
金博士は、石段づたいに芝地に下り、そして正確なる歩速でもって、向うの方へ歩いていった。
「老師、うまくいったようですな」
卓子の下から、醤があの長いへちまのような額をぬっと出した。
「叱ッ。ボーイが、こっちを向いている。いやよろしい、窓の方を向いた。……いや、醤どの、うまくいったよ。