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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
それをもって、商船の底を焼切るんだ」
太刀川の前に立って命令をしているのは、何者だか、よくわからなかった。太刀川は、こっちの顔を見られまいとして、顔をあげないので、相手の潜水服の足だけしか見えないのだ。そのうちに、その足は向こうへふわりふわりと動いて、立去った。
(逃げだそうかと思ったが、なかなか見張がきびしいようだ。どうなるか、ともかくも、潜水隊員と一しょに、しばらく仕事をしてみよう)
太刀川の肚はきまった。
五十メートルほど向こうの海底に、二十四、五名の潜水隊員が整列していた。いずれも同じような恰好だから、誰が誰だかわからない。
ここは相当ふかい海底と思われるが、水がほとんど動かないところらしく、海藻が腰の深さに生えしげっている。その上を、鯛の群がゆらゆらと泳いでゆくのが見える。
海底が、意外に明るいので、あたりを見まわしてみると、どうやら海底要塞の方から、つよい光を出して照らしつけているらしく、体をうごかすと、影が幾重ものあわい縞となってふるえるのであった。太刀川は、めずらしげに、あたりに注意をくばりながら、隊の方へゆったりゆったり歩いていった。