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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
「大した戦果だ!」
快速艇からも、水面下の様子が、ときどきながめられ、太刀川青年の舌をまかせた。彼は、かの恐竜型潜水艦が、舳のあの長いものを、敵艦の底にぐっとのばしたかと思うと、底が急に赤くなって、まるい形にとろとろと灼けおちる光景を、目のあたりに見たのだ。
怪力線砲は、ついにソ連の手によって完成されたのである。
意外なる敵!
「どうだ。太――いや、リーロフ大佐」
アメリカの艦艇が、さかだちとなって、ゆらゆらと水中に、しずみはじめるごとに、司令官ケレンコは、太刀川にむかいほこらしげにいった。
だが、太刀川は、わざと、
「相当ですが、私の理想からいえば、まだやり方がにぶいですね」
という。
「なに、あれでまだにぶい?」ケレンコはにやりとして、
「うふん、だが、あれが日本艦隊だったら、もっと、こっぴどくやっつけるんだが、なにをいっても友邦アメリカだから、遠慮してあのくらいにとどめておくのだよ。うふふふ」
ケレンコは、鬼のように笑った。
その時、とつぜん、潜水兜が、ぴんぴんと、異様な音をたててなった。
とたんに、たんたん、じゅじゅというひびきがつづいて起り、急に上から、おさえつけられるような重くるしさを感じた。