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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

それを聞くと、五人の操縦員は、いいあわせたように、ぶるぶると体をふるわせた。

無茶な命令

「そこでわがはいは、本艇の航路をしめす。地図を出せ」

ケレンコはいった。

「地図は、ここにある」

ダン艇長が、壁を指さした。航空用の世界地図が、はりつけてあった。そのうえには、赤や青やの鉛筆で、これまで通ってきた航路やなにかがしるされていた。

「ふん、これか。なるほど本艇はいま、ここにいるのだな。しめた。マニラからよほど北にそれているのだな」

「外はひどい暴風雨です。だから北へ避けているのです」

操縦長スミスが、ひきつったような声でこたえた。

「本艇の針路を、もうすこし北へまげろ。もう二十度北へ」

「え、もう二十度も北へですって」

操縦長スミスはおどろきの声をはなち、

「それじゃあんまりです。マニラへはいよいよ遠ざかり、太平洋のまん中へとびこんでゆくことになります」

「わかっている。いいから、わがはいの、いうようにするんだ。君は命令にそむく気じゃあるまいな」

「でも、そっちへ行けば、マニラへひきかえすだけの燃料がありません。海の中におちてしまっていいのですか」

「だまって、わがはいの、いうとおりにしろ。