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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
「はあ」艇長は電話をかけながら、ちょいと頭を下げて、
「おい、停電したが、どういうわけだ。なに暴風雨で発電機の中に水がはいった。……蓄電池だけで、電話とエンジンの点火とだけを辛うじて保たせてあるって。ええ、なんだ?――ふん、そうか、よしよし。わかったわかった」
「こら、なにをいう。他のことを話しちゃならぬといっているのがわからないか」
「いや、故障のところを説明させているんです」
艇長はいいわけをして、
「おい、それからどうするというのか。………うん、わかった。早くなんとかなおせ。そうか、こっちは大丈夫だ。じゃ、あと十分後を期して、一せいに、よし、わかった」
「なんだ、おい。十分後というのは」
「え」とダン艇長は、なぜかどぎまぎしたが、
「いやなに、十分後までになおすから安心してくれといっているのです」艇長は、電話を切ったあとまで、なんだかそわそわしていた。そして、かたわらに立っている太刀川青年の方をちらちらとぬすみ見ていた。
なんだか様子がへんである。ダン艇長は、はたして電話で停電した話ばかりをしていたのであろうか。
「さあ、艇長。用がすんだら、懐中電灯をかえしなさい。