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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「電灯をつけろ。ダン艇長。誰かに命令をつたえろ」

「はい。では発電室へいってみます」

しめたと思ったダン艇長が、くらがりの中に体をうごかしたとたん、

「こら、この室を出ていっちゃならん。この室に、艇内電話機があるはずじゃないか」

とケレンコのわれ鐘のような声。

「電話機はありますが、停電ですから、電話もだめじゃないかとおもいますので……」

「なんでもいいから、かけてみろ」

「はい。こうくらくては電話機のあるところがよくわかりません。懐中電灯でもあれば」

「大げさなことをいうな。じゃ、わがはいの懐中電灯を貸してやる」

ケレンコは、ピストルをポケットにおしこみ、他のポケットをさぐって、懐中電灯をとりだした。

それはただちにケレンコの手から、ダン艇長の手にわたされた。釦をおす。まぶしい光がさっと室内に流れた。

「ああ、ここにあった」

艇長は、電灯を片手にもちながら、

「ああもしもし」

と、電話をかけはじめた。

「おう、交換台か。おや、電話は通じるんだね。それはよかった。え、なに?――」

「こら、他の話をしちゃならん。早く電灯をつけろといえ」

ケレンコは、油断していなかった。