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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

そして夜の明けるまで、けっして地上におりて来ない。

このふしぎな風習は、大昔、島が真夜中に大つなみにおそわれて、住民のほとんどが、浪にさらわれて行方不明になったことからおこったと、いいつたえられている。

今日は、酋長ミンチの家はお客さまがあって、たいへんな賑わいだった。お客さまというのは、このミンミン島の隣の島――といっても、海上五十キロもはなれているロップ島の酋長ロロの一行であった。

さて、酒盛がいよいよたけなわになったころ、日が暮れてきた。するとミンミン島の原地人たちは、急になんだかそわそわしだした。彼等にとってはおそろしい夜がくるからだ。

これにひきかえ、ロップ島のお客さまたちは、酋長ロロをはじめますます陽気になってきた。この人たちは、みんなそろって、頭の上から鼻のあたりまで、すぽりとはいる黒い頭巾をかぶっている。目のところには、小さな穴があいていて、そこからのぞいているのであった。

酋長ミンチが、やがて椰子の葉でこしらえた大きな団扇のようなものを、右手にさしあげて頭の上の方でふると、がらがらというへんな音が、あたりになりひびいた。

すると次の間から、魚の油をもやしているらしい燭台が三つ四つ、はこび出された。