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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
とたんに、ミンミン島の人たちは生きかえったような顔色になり、思わずわーっとよろこびの声をあげた。
ところが酋長ロロをはじめロップ島の人たちは、それがおもしろくないといった様子で、何かがやがやとわめきあっている。
そのうちに、酋長ロロが、席からすっくと立ちあがって、手にしていた短い手槍みたいなものを左右へぴゅうぴゅうとふった。そして胸をはり、肩をいからせて、
「この島の主ミンチよ。太陽は海の中へすっかりおちてしまった。いよいよやくそくの時刻になったではないか。さあ、早くその尊いものを出してくれ」
と、きいきい声でさけんだ。
すると、このミンミン島の酋長ミンチも、すっくと立ちあがり、これは破鐘のような声で、
「客人よ、お前のいうとおりだ。それでは、いよいよこれからミンミン島の宝であるクイクイの神を、ここへ呼ぶことにするぞ」
といえば、酋長ロロは息を大きくはずませて、
「うむ、待っていたところだ」
と、こたえた。
「おう、奥から、クイクイの神をよべ」
酋長ミンチがこの命令をすると、奥の間から、あやしい返事の声がきこえて、やがて垂幕をわけ、しずしずとあらわれたのは、裸の上に、椰子の枯葉であんだ縄のようなものを、長くたらした奇怪なクイクイの神であった。