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きかいなさいかい
奇怪な再会
「大阪毎日新聞夕刊」1921(大正10)年1、2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,996 字 · 43 页
と同時にまた独りになった事が、多少は寂しくも思われるのだった。
雨が降っても、風が吹いても、川一つ隔てた藪や林は、心細い響を立て易かった。お蓮は酒臭い夜着の襟に、冷たい頬を埋めながら、じっとその響に聞き入っていた。こうしている内に彼女の眼には、いつか涙が一ぱいに漂って来る事があった。しかしふだんは重苦しい眠が、――それ自身悪夢のような眠が、間もなく彼女の心の上へ、昏々と下って来るのだった。
二
「どうしたんですよ? その傷は。」
ある静かな雨降りの夜、お蓮は牧野の酌をしながら、彼の右の頬へ眼をやった。そこには青い剃痕の中に、大きな蚯蚓脹が出来ていた。
「これか? これは嚊に引っ掻かれたのさ。」
牧野は冗談かと思うほど、顔色も声もけろりとしていた。
「まあ、嫌な御新造だ。どうしてまたそんな事をしたんです?」
「どうしてもこうしてもあるものか。御定りの角をはやしたのさ。おれでさえこのくらいだから、お前なぞが遇って見ろ。たちまち喉笛へ噛みつかれるぜ。まず早い話が満洲犬さ。」
お蓮はくすくす笑い出した。
「笑い事じゃないぜ。ここにいる事が知れた日にゃ、明日にも押しかけて来ないものじゃない。