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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
野村胡堂『奇談クラブ(全)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,139 字 · 208 页
併し、何んとなく凄味があって、美しいうちにも、鬼気が迫ります。
「お前は、お前は何んだえ?」
桜子は辛くも口を切りました。
が、枕に凭れた腕が顫えて、腑甲斐なくもシドロモドロになります。
寝乱れた美女の、わななく姿は、得も言われない魅惑だったでしょう、怪しい若衆は、暫らく凝っと瞳を据えましたが、やがて、
「お許し下さい桜子様、お慕い申してこれまで参りました。決して怪しい者では御座いません」
と申します。
五音の調子が少し外れて、礼儀正しい一粒選りの言葉のうちにも、何んとなく享保二年の江戸の町には通用しそうも無い、一種言うに言われぬ古めかしさがあります。これが怪しくなくて、一体何が怪しいでしょう。
物の本にある狐狸の業か、それとも、獺か大蛇の怪か、いずれにしても、正面の人間とは思われません。
桜子はゾッと身を顫わせました。
「桜子様、深い深い因縁の結ばれた、私と貴女で御座います。決して淫らな心持で参ったのでは御座いません。――八重の関を越す骨折は、並々では御座いませんが、明日の夜もまた忍んで参ります。どうぞそれまでに、よくよく思案を定めてお置き下さい。