轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
野村胡堂『奇談クラブ(全)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ、新奇談クラブ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,139 字 · 208 页
あと二時間経って、小使が最後の見廻りに来る時でなければ、此の扉を開けてくれる者は、先ず絶対に無いものと言っても宜いでしょう。
私は嫉妬ですっかり眼が昏んで居りました。事務室の中に、丸茂三郎がたった一人残って居ることを確かめると、其の儘エレベーターで下へ降りるなり、円タクに飛び乗って、暗雲に、香川礼子のアパートへ駆け付けてしまったものです。
私と婚約――互の口約束ではあるが――までした礼子の部屋を探して、動きの取れぬ証拠が手に入れたかったのです。時々私の耳へ入って来る社員達の蔭口のように、礼子が本当に私と丸茂とを、同じように色仕掛で綾なして居るとしたならば、私は考え直さなければなりません。
アパートへ飛び込んで、よく知って居る礼子の部屋の前に立つと、中には明かに人の気配があります。試みにノックすると、
「ハイ、何誰!」
気軽に答えて中から扉を開けたのは、
あ、何んとした事でしょう。先刻有楽町の停車場で別れたばかりの、正真正銘の、紛れも間違いもない香川礼子自身だったのです。
「あッ」
私はもう一度呆気に取られて立ちすくみました。
先刻事務室から出て来て、屋上庭園へ消えたのも、誰が何んと言っても香川礼子に相違ありません。