轻松读懂日语经典作品
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
「ロマンス」ロマンス社、1949(昭和24)年10月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,757 字 · 66 页
子供は満腹したらしく、乳首は啣えるだけで、いいきげんに鼻声をたてながら、しきりに手で両の乳房をいたずらしていた。
「さあもういいの、おいたをするならないないちまちょ、ね、またあとで――」
そう云って乳を離そうとしていると、本屋へ通ずる道を、いねがおちつかないようすで登って来た。――本能的な敏感とでもいうのだろう、せかせかしたいねの足どりを、緊張した顔つきをみるなり、おなつははっと色を変え、子供を抱いて逃げるように座敷の中へ隠れた。……いねはあとからはいって来ると、縁側の障子を閉め、おなつの側へ来て坐った。
「あの方がおいでになったのよ、北原さんとおっしゃったわね、――今までお相手をして、いろいろお話をうかがったけれど」
「あたしが、いるって、――ここにいるって、云っておしまいになったの」
「まだそうは云わないけれど、でもすっかり知っておいでになったらしい、あんたいつかお侍とすれちがったときどうとか云ってたでしょ、あのときの方が衣巻さんとかいうひとで、それから手をまわしてお調べになったようだわ」
「それでもおかみさんが知らないと云いとおして下されば、人ちがいだと云って下さればいいわ、そうでなければあたし」