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じょせい
女婿
佐々木 邦
「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页
お天道さまは今勤めている会社ばかりに照らない。人並の腕のあるものは何処へ行っても食える。支配人の令嬢を貰わなくても、立身出世の道はいくらもある。清之介君の縁談を耳にした時、同勤の親友辻村君はこの理を推して、
「支配人の女婿ということは一生祟るぜ。いくら出世をしてもあれはあれだからと言われる。僕は君の個性の為めに惜しむのさ」
と注意を喚んだ。しかし清之介君は既に一応首を縦に振った後だったから、
「何あに、個性は全うするさ。養子に行くんじゃあるまいし、高が女一匹だもの、何うにでも操縦するよ」
と自分の立場を弁護する外なかった。
それはさて置き、若い血汐の漲っている有難さ、新夫婦はズン/\回復した。看護婦もお暇が出て、初めて水入らずの新家庭になった。但し里方干渉の習慣は流感のどさくさ紛れに堅く根を張ってしまって、母親が一日置きに見舞いに来る。尤も妙子さんは末の娘だから呉れたような貰ったようなところという最初からの註文で、東京に親戚のない清之介君に白羽の矢が立ったのである。それはお婿さんも仲人の打ち明け話で承知だったが、単に希望に過ぎないと解釈していた。
ところが或日のこと、