轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つまのざ
妻の座
壺井 栄
「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页
長いまつ毛をふせ恥らいが顔に上ってくるのが分るようだった。
「ごめんなさい。」
ミネはなぐさめるように微笑をおくった。そして、いつか閑子が、そのコートをもしかしたら長女にやらねばならぬといいながらミネの家においてある荷物の中から取り出して持っていったのを思い出した。閑子はやるといったのではなかろうか。しかしこうなった今、それは残さぬ方がお互いのためだと思い、ミネはだまってコートをたたむ娘をみていた。くっくっと若さのせり上るような笑いを交していた娘たちは、もうけわしい顔になっていた。まだまだ母親の必要な娘たちなのに。ミネは亡くなった野村の妻のことを考えながらまとめた小物を荷物にしていると、自分の部屋から出てきた野村が、これ、といいながら小さなものを差出した。口紅だった。それは結婚のとき、ミネが閑子に与えたものなのだ。野村の部屋のどこにそれがおかれてあったのだろう。帰る道々ミネはへんにそれが気になったのを思い出す。閑子はおそらく、二か月の野村の家の生活で口紅に用がなかったのではなかろうか。それなのにこのごろの閑子が時々、口紅をつかっているのをミネは発見した。