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こどもはばかでなかった
子供はばかでなかった
小川 未明
「国民新聞」1931(昭和6)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,227 字 · 5 页
川は、村はずれの丘のふもとを流れていました。草の上に足を投げ出して、あちらの空をながめるのが大好きでした。彼はかつて、ここの景色を絵に描いて、学校で先生にほめられ、その絵は、張り出しになりました。また、ここを文章で書いて、甲をもらいました。
その日も、ここへやってくると、川の水はゆるく流れて、空をゆく、白い雲の影を、ゆったりとした水面にうつしていました。
「釣りにくれば、よかったな。」と、思っていますと、丘の上で、ちょうど自分ぐらいの少年がくわをふり上げて、土を耕し、なにか植えていました。
「僕も、町へなんかゆかずに、ああして働いたら、どんなにいいだろう……。」と、思っていると、その少年がうらやまれたのであります。彼は、少年のそばへゆきました。そして、二人は、じきに仲好しになってしまいました。
その少年は、りんごの木を植えていたのです。体が弱いので小学校を卒えると、自分は果樹園を営むことにしたのです。それで、自分一人ではさびしいから、
「君もお父さんや、お母さんが許されたら、ここへこないか。二人でいろいろなものを栽培して、愉快に生活しようよ。」と、少年はいったのでした。