轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まごしちとずんど
孫七とずんど
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館 、1943(昭和18)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,189 字 · 30 页
そう考えてしきりにその折を覘っていた、しかしそれよりまえに思いがけぬ合戦がはじまり、そんなことはいっぺんに吹き飛ばされてしまったのである。
遠江のくに周智郡に天方という城がある、三倉川の中流で谷峡に臨んだ要害の地を占め、武田信玄の旗下でも勇名の高い久野弾正宗政が、三千の精兵をもって守備についていた。これは浜松城を北からねめおろして、徳川氏の北漸をくいとめる第一線に当っているし、またそこを根拠として、隙さえあれば侵略の手を伸ばそうと虎視眈々たる構えをもっていた。家康はまえから眼上の瘤ともいうべきこの城砦を除くべく機を窺っていたが、おりから信玄が相模の北条氏と開戦したので、にわかに軍議をまとめて天方城攻略の兵をあげたのだ。
出陣の命をうけた石原寸度右衛門はすぐさま孫七郎の住居へとんでいった。孫七は廂さきへ鎧をとりだして、ひどくのどかに金具の清拭きをしていた。
「どうした孫七、榊原どのでも兵を出すと聞いたが、いよいよおまえも出陣か」
「ああ石原寸度右衛門か」孫七郎はこっちを見てにやっとした、「いい日和が続くな、そんなところに立っていないで、とにかくこっちへあがったらどうだ」