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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
03 伊達政宗の城へ乗込む――仙台の巻――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,085 字 · 48 页
石巻は北上川の河口が港だから、せいぜい五百トンぐらい。大きな船ははいれない。塩竈は天然の良港で、前面には一群の松島が天然の防波堤の役を果しているし、水深も深く、目下一万トンの船を横づけにする岸壁を工事中である。したがって、ここの港は魚を水揚げするよりも、一般の港の荷役に利用され、石炭が荷役の大半、魚の水揚げは全体の数パーセントという有様だ。けれども、水揚げする魚の量は、魚だけが専門の石巻よりも多いのである。つまり塩竈港はそれほど大きな港なのである。私は塩竈がそんな良港だとは知らなかったので、きて見ておどろきましたよ。
それでいて魚だけで持っている石巻の方が人口が一万ほど多く五万五千ぐらい、塩竈が四万五千ぐらいだそうだ。この現象は二ツの漁港の扱う漁船の相違に、よるのだね。三陸は日本近海最大の漁場であるから、東海の漁船も、紀州の漁船も、四国の漁船も集ってくる。塩竈へ入港して魚を水揚げする漁船の七割はよそから来た船なのだ。したがって、この魚は塩竈を素通りして、すぐ汽車で東京へ大阪へと運び去られる。水揚げの量は多くても、この市で加工されないから、市民に労働を与えてうるおすことが少いのである。