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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
03 第二回 富山の薬と越後の毒消し≪富山県・新潟県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,916 字 · 46 页
大は反物、オムツカバー、メリヤスシャツの類からポマード、オシロイ等の化粧品、シャボン、ブラシ、鋏、ナイフ、ヘアピン等の日用品一切にわたって売り歩く。彼女らは自ら移動百貨店と称しているのである。
したがって、富山の薬のオトクイが都会地であるに反し、毒消しは農村専門だ。云うまでもなく商店で自由に物の買える都会地は彼女らの商売する余地がない。もっとも彼女らは都会地に合宿している。それは農村へ分散して往復するに交通の便がよいからで、つまり都会は合宿の拠点であるが商売する場所ではないのだ。
富山の薬売りは一泊三百円もだして商人宿へ泊るが、毒消しはそういうムダはしない。小さな一部屋を借りて何人かが下宿しているのが普通であるが、なかには小さな家を一軒持っていて、そこに十数名泊りこんで、年中そこを拠点にしている一団もある。
毒消し売りは年配の女が一団の隊長となっていて、これを親方とよんでいる。一人の親方には何名かの子供とよばれる弟子格の売り子が属している。これがそれぞれ隊をなして、各々の拠点にあるいは家をもち、あるいは下宿して連日行商に農村を往復するのである。だから生活費は安くつく。