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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
03 第二回 富山の薬と越後の毒消し≪富山県・新潟県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,916 字 · 46 页
岩室の娘たち
※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)を食べてはいけないどころか、食慾をそそるような陳列ぶりであったのである。社殿の方向に直線をひくと、真うしろは角田山の山頂に当っていた。その原ッぱに焚き火をして※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)の丸焼きが食いたくなるようなノンビリした風景だったのである。
娘が二人そのへんをぶらぶらしていた。大そう手もち無沙汰の恰好だ。彼女らも毒消し売りから帰ったばかりなのである。彼女らは私の商売と私が村を訪問した目的とを聞き知っていたらしく、チラと色っぽく私を睨んで、
「変なこと、書きなんなやア」
と云った。変なことを書きなさるな、という意味だ。普段着だからハイヒールははいていない。セーターにズボン。そして下駄ばき。垣根にもたれて、下駄で※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)が地を蹴るように、砂をうしろへ蹴っていたのである。
岩室の娘たち
毒消し部落は角田山の海寄りであるが、角田と弥彦をとりまく平野側には蟻のはいでる隙もなく新潟芸者の産地がギッシリたてこんでいるのである。その代表的なのが岩室と地蔵堂だ。そして芸者の産地にかこまれた山の手に良寛さまの住んでた部落もあるのである。