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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
02 第一回 高千穂に冬雨ふれり≪宮崎県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,371 字 · 34 页
いまの九州にもこういう無邪気な豪傑が居そうな感じではないか。
阿蘇から日向に入る古い道筋に高千穂の町がある。ここには岩戸村があったり、天の岩戸があったり、高天原も天安河原もみんな揃いすぎるほど揃っている。しかし実際に土地の神様と目される高千穂神社は一応祭神が神武天皇の兄三毛入野命となっているけれども、実際は土地の豪族高千穂太郎を祭ったものらしく、太郎の子孫は三田井姓を名のって後ながくこの地の首領となり今も高千穂の中心は三田井を地名としているのである。
日向の山間の村々には今も神楽を伝承し、それが彼らの主要な娯楽であること今も昔と変らない。その夜神楽は昔は三日三晩もつづいたものだそうだ。神楽歌には土地の人々も意味を知らない国籍不明の文句が多々あって、たとえばトウトウタラリトウタラリというようなのを河口慧海という人がチベット語だと云った。この説は眉ツバモノだと他のチベット学者の説もあって真偽は知らないが、高千穂神楽の日の舞いにはシバ荒神などというのが現れてなんとなく印度の荒れ神様との関連などを感じさせるものがあり、むかし神宮寺のあった地名をセ別当と云いならわしており、セの字に当る漢字は古老も知らない。