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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
ただ現在日本で特にこの現象の目立つのは、思うにそれぞれの方面において書籍の価値批評をする権威あり信用ある機関が欠乏しているためか、あるいはそういうものがあっても、多数の人がそれに重きを置かずして、かえってやはり新聞広告の坪数で価値を判断するような習慣に養成され、そうしてあえてみずから疑ってみる暇がないためであるかもしれない。
化粧品や売薬と、商品として見た書籍とを比較する場合に一つの大きな差別の目標となるのは、古本屋というものに対する古化粧品屋、古売薬屋の存在しないことである。神田の夜店を一晩じゅう捜してもたぶん明治年間に流行した化粧品売薬を求めることはできないであろう。しかし書籍ならば大概のものは有数な古書籍店に頼んでおけばどこかで掘り出して来てもらえるようである。
それにしても神保町の夜の露店の照明の下に背を並べている円本などを見る感じはまずバナナや靴下のはたき売りと実質的にもそうたいした変わりはない。むしろバナナのほうは景気がいいが、書物のほうはさびしい。
「二人行脚」の著者故日下部四郎太博士がまだ大学院学生で岩石の弾性を研究していたころのことである。