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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页
高等学校時代のある年の元旦に二三の同窓といっしょに諸先生の家へ年始回りをしていたとき、ある先生の門前まで来ると連れの一人が立ち止まって妙な顔をすると思ったら突然仰向けにそりかえって門松に倒れかかった。そうしてそれなりに地面に寝てしまって口から泡を吹き出した。驚いて先生を呼び出して病人をかつぎ込んでから顔へ水をぶっかけたり大騒ぎをした。幸いにまもなく正気づきはしたが、とにかくこれがちょうど元旦であったために特に大きな不祥事になってしまったのである。
正月元旦は年に一度だから幸いである。もしこれが一年に三度も四度もあったらたいへんであろうと思われるが、しかしいっそのことこれが一年に十二回とか五十回とかあるようになればまたかえって楽になるかもしれない。そう思ってみると、一年に一回ずつ特別な日を設けて、それを理由などかまわずとにもかくにもめでたい日ときめてしまって強いてめでたがり、そうしてそのたびに発生するいろいろな迷惑をいっそう痛切に受難することにもなかなか深い意義があるような気がしてくる。
正月をめでたいとして祝うことを始めて発明した人があったとしたら、その人はやはりなかなかえらい人であったろうと思われるのである。