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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

03 小桜姫物語

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 页

青空文庫

『そうじゃ。今度の修行場はあの瀑布のすぐ傍にあるのじゃ。』

『まあ瀑布の修行場……。どんなに結構なところでございましょう。私も、何所か水のある所で修行したいような気分になって居りました。』

『それだから今度の瀑布の修行場となったのじゃ。汝も知る通り、こちらの世界の掟にはめったに無理なところはない……。』

そう話合っている中に、いつしか私達は飛沫を立てて流るる、二間ばかりの渓流のほとりに立っていました。右も左も削ったような高い崖、そこら中には見上げるような常盤木が茂って居り、いかにもしっとりと気分の落ちついた場所でした。

不図気がついて見ると、下方を流るる渓流の上手は十間余りの懸崕になって居り、そこに巾さが二三間ぐらいの大きな瀑布が、ゴーッとばかりすさまじい音を立てて、木の葉がくれに白布を懸けて居りました。

私はどこに一点の申分なき、四辺の清浄な景色に見惚れて、覚えず感歎の声を放ちましたが、しかしとりわけ私を驚かせたのは、瀑壺から四五間ほど隔てた、とある平坦な崖地の上に、私が先刻まで住んでいた、あの白木造りの小屋がいつの間にか移されて居たことでした。

『まあ斯んなところに……。