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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

03 小桜姫物語

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 页

青空文庫

そうしたことは格別珍らしい事でも何でもないのですが、場合が場合とて、それが飛んでもない大騒ぎになって了いました。――

『小櫻姫はたしかに三浦の土地の守護神様だ。三浦の土地が今度不思議にも助かったのは皆小櫻姫のお蔭だ。現に小櫻姫のお姿が誰某の夢枕に立ったということだ……。難有いことではないか……。』

私とすればただ土地の人達に代って竜神さんに御祈願をこめたまでのことで、私自身に何の働きのあった訳ではないのでございますが、そうした経緯は無邪気な村人に判ろう筈もございません。で、とうとう私を祭神とした小桜神社が村人全体の相談の結果として、建立される段取になって了いました。

右の事情が指導役のお爺さんから伝えられた時に私はびっくりして了いました。私は真紅になって御辞退しました。――

『お爺さま、それは飛んでもないことでございます。私などはまだ修行中の身、力量といい、又行状といい、とてもそんな資格のあろう筈がございませぬ。他の事と異い、こればかりは御辞退申上げます……。』

が、お爺さんはいつかな承知なさらないのでした。――

『そなたが何と言おうと、神界ではすでに人民の願いを容れ、小桜神社を建てさせることに決めた。