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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

けれども、そうした私の秘密の楽しみは間もなく大変な事で妨げられるようになりました。

あの半分腐れかかって、倒れかかって、いろいろなガラクタと、白蟻と、ホコリで一パイになっている廃屋は、ちょうどあの海岸通りの四角にスックリと立っている、赤煉瓦の天主教会が校長先生のいろいろな美徳のホームでありましたように、ずっと以前から校長先生のいろいろな悪徳の巣になっているのでした。校長先生が模範教育家としての体面をあらゆる方面に保たれながら、その裏面に、いろいろなお金や女性たちに対して、想像も及ばない悪知恵を働かしてお出でになるためには、あの廃屋が是非とも必要なのでした。……ですから校長先生は、どうしてもあの廃屋を取り毀すことをお好みにならなかったのでしょう。「藁屋根は防火上危険だから」と言って、警察から八釜しく言って来ても、物置の建築費がないからと言って、県の当局の方を長いことお困らせになったのでしょう。

そんな因縁の深い、悪徳の巣の中とは夢にも知らないで、毎日毎日修養に来ておりました私の愚かさ……その私のグラグラの籐椅子の下から間もなく、どんな悪魔の羽ばたきが聞こえて来ましたことか。